私たちについて
About us
訪問介護とれじゃーまっぷのWEBサイトをご覧いただきありがとうございます。
当事業所は、主に障害福祉サービス等の提供を行っています。
どんな特徴がありますか?と聞かれたらこう答えます。
「馬社員と猫社員がいます!」と。
彼らは私たちのペットではありません。
当事業所の大切なスタッフであり、私たちの家族でもあります。
はじまりの二つの死
元競走馬ゴールドシップの全弟、トレジャーマップという競走馬をご存じでしょうか。
私たち事業所の事業所名にもなっている、このトレジャーマップが画面から消え、
空へ旅立ったと聞いた2019年。
今思えば、これが私たちのはじまりだったように思います。
彼は私たち夫婦にとって憧れであり、愛おしい、特別な存在でした。
そんな彼を失った喪失感が癒えぬ間に、実の父を亡くしました。
急死ではなく、25年に及ぶ壮絶な闘病の末の、苦しい苦しい死でした。
私のはじめての介護であり、人の生きる力と死と向き合ったはじめての経験でした。
決して家族に優しい父親ではなく、傍若無人で、たくさんの苦労を家族に与えた父。
けれど、愛していた父の死。
介護の中で交わした言葉、支えた体、触れた体温。
私と父の、人生の中で一番密な時間。
辛くも幸せな時間に終わりを告げた、父の死。
二つの命が、私の前から消えてしまいました。
立ち直れないほど深く、永遠のような喪失感を味わいました。
この絶望にも似た空虚な日々の中にいた私をすくい上げたのが、
乗馬クラブで出会った引退馬、ゴールドゴールデン(ゴールドトレジャー)でした。
ゴールドトレジャーとの出会い
トレジャーマップと同じ牧場で生まれた、ゴールドシップ産駒のゴールドゴールデン。
ゴールドシップによく似た芦毛の男の子で、私はすぐに夢中になりました。
トレジャーマップの名を受け継いだ「ゴールドトレジャー」という名前は、
縁あって私が命名させていただきました。
馬を引き取るということに対して知識もないまま夢見ていた
「いつかゴールドシップ産駒の仔を家族に迎えたい」という願いが、ふいに目に前にやってきました。
夢中にならないはずがなかった。
愛さずにいられる訳がなかった。
しかし、選択の日は思ったより早くやってきました。
ゴールドトレジャーが乗馬クラブにやってきて、第二の馬生をスタートさせてしばらく経った頃。
彼は人を乗せることを嫌がった。
乗馬クラブで、人を乗せない馬。
走らず、人を乗せず、馬たちが生きていく道は限られていた。
苦悩と決意
彼を迎え受ける決心に至るのは、当然容易ではありませんでした。
知識も、お金もなく、あるのはただ、彼を深く愛しているという事実のみ。
これまでの人生での苦労、苦しみ、寂しさという経験が、
この仔と出会うための苦難だったのだと思えるほどに。
ゴールドシップ、トレジャーマップと出会い、時を経てゴールドトレジャーが目の前に現れた。
すべてが巡り合い、これが私の人生の答えなんだと思わされました。
当時、母が経営する訪問介護事業所で働いていた私たち夫婦。
私がゴールドトレジャーの存在に癒され、救われたように、
利用者様にも癒しを提供できないか。
ゴールドトレジャーをセラピーホースとして、社員に迎えられないか。
走りたくないのであれば、走らない馬生を与えてあげたい。
自分らしく生きていける場所を、作ってあげたい。
2022年7月25日
決心からその日までも、もちろん前途洋々とは程遠いものでした。
しかし、私が諦めれば、ゴールドトレジャーの馬生も終わってしまう。
諦める訳にはいかず、模索し続けた日々。
簡単ではない道のりの中で、
助けてくれる人がいました。
頑張れと言ってくれる人がいました。
夢物語は急速に現実に近づき、準備が整った2023年7月25日。
ゴールドトレジャーは、私たちの家族となりました。
ここには書ききれませんが、本当に簡単ではありませんでした。
それでも諦めず、努力し続けたら奇跡が起こりました。
努力なしでは起こりえない奇跡でした。
回り続ける運命の歯車
なんとかゴールドトレジャーを家族に迎えたと思ったら、
ゴールドトレジャーと同じゴールドシップ産駒のランジョウ(藍姫)、ホットミルク(ゴールドミルク)、
そしてさまざまな事情を抱えた保護猫たちとの出会いが続きます。
運命が引き合ったかのように、私たちの元へ彼らはやってきました。
さまざまな境遇で、望まぬ運命に翻弄されてきた馬社員と猫社員たち。
もちろんすべての命は救えない。
せめて目の前に来た命からは目を背けず、守りたいという思いから
訪問介護とれじゃーまっぷを立ち上げました。
“宝島”のような社会を目指して
人を乗せることだけが馬の生き方ではありません。
飢えや寒さに怯えて暮らすことが猫の生き方ではありません。
彼らの馬生も、猫生も、豊かであって欲しい。
高齢者や障害のある方もまた、自分でできることには限りがあっても、
支援を受けながら、自分らしい生活を送って欲しい。
父とトレジャーマップが教え、引き合わせてくれた命たち。
誰一人取り残されることなく安心した日常を送れる社会を目指して、
私たちは宝島への地図を描き続けます。
さらに詳しい経緯や思いなどをnoteで綴っています。
お時間ある方はぜひこちらもご覧ください。